日立が家庭用エアコンと業務用エアコンで省エネ大賞をダブル受賞
日立が家庭用エアコンと業務用エアコンで省エネ大賞をダブル受
一般財団法人省エネルギーセンター(藤洋作会長)が主催し、省エネ性や省資源性に優れた製品やビジネスモデルを表彰する「平成28年度 省エネ大賞」(経済産業省後援)の受賞者が今年も発表され、日立ジョンソンコントロールズ空調の家庭用エアコンと業務用エアコンが「製品・ビジネスモデル部門」で省エネルギーセンター会長賞を受賞した。家庭用、業務用双方でのダブル受賞は「技術の日立」の研究開発力を改めて示す結果となり、家庭用エアコンの通算受賞回数は10回目と大台に到達した。
省エネ大賞に選ばれたのは、家庭用エアコンが「ステンレス・クリーン 白くまくん Xシリーズ」、業務用エアコンが「冷暖切換型フレックスマルチ高効率タイプ」。ともに業界トップレベルの省エネ性が評価された。
家庭用エアコン「ステンレス・クリーン 白くまくん Xシリーズ」(左)と業務用エアコン「冷暖切換型フレックスマルチ高効率タイプ」
業界初の人を識別する「くらしカメラAI」を搭載 一人ひとりに合わせた気流制御を実現
一般消費者にもおなじみの「白くまくん」は、AI(人工知能)の活用で人や室内環境を認識し、高精度な空調制御と省エネを実現した。具体的には、寒い気候の時期に入室間もない人と在室時間が長い人の2人がいた場合、入室間もない人には強めの温風、在室が長い人には弱めの温風を送るといった具合だ。人を識別して在室時間を特定する技術を搭載したエアコンは、国内家庭用では初めて。
こうした最先端の空調を制御するのが日立独自の「くらしカメラAI」だ。画像カメラ、温度カメラ、近赤外線LEDから成り、人それぞれの在室時間や動き(活動量)を識別。部屋の温度分布、間取り、家具の位置や形状、床材の種類、部屋への日差しの有無などの室内環境も判断し、送風を最適化する。「くらしカメラAI」が一人ひとりの体感温度の変化を予測することで、人が不快と感じる前に気流を制御し、暖めすぎや冷やしすぎを抑えながら、快適を保つ。
「くらしカメラAI」で部屋干しの洗濯物も検知 効率的な除湿も
「くらしカメラAI」は、業界初「湿度カメラ」機能により、部屋の湿度分布算出が可能になった。これにより湿度の高いエリアを優先的に除湿することで、人と部屋の両方の快適性を実現している。また、部屋干しした洗濯物を見つけると、集中的に除湿して乾燥しやすくすることにより、効率よい除湿を実現した。
快適性と省エネ性を両立させた日立の高い技術力
高度な技術を積み上げ、掛け合わせた「くらしカメラAI」が誕生するきっかけは2011年(平成23年)の東日本大震災だった。節電意識が高まり、高い省エネ性がエアコンに求められたからだ。
エアコンの省エネには「ハードウエアの省電力化」と「無駄な運転を省く」のふたつの考え方がある。ハード面の省エネは室内機、室外機の改良で実現した。もう一方の「無駄な運転を省く」については赤外線センサーによって人の動きを検知し、温度や気流をコントロールしていたが、これには限界があった。冷房時なら、赤外線センサーでは動きが大きい人に合わせた温度設定となるため、動きが小さい人には冷えすぎになる。人がいる場所は検知しても、人数や何をしているかは検知できなかった。
課題のクリアに向けてさまざまなセクションのメンバーでディスカッションを重ねた結果、解決策としてエアコンには無縁と考えられていた画像処理技術(カメラ)が浮上した。カメラはあらゆる情報を把握可能であり、日立グループの画像処理技術は車載カメラによる車の自動運転システムやセキュリティーなどで数多くの実績があった。
最大のテーマはカメラで得た膨大な情報をどうCPU(中央演算処理装置)で処理し、最適な運転に結びつけるかだった。まずは人の数や動きを正確に把握することからスタート。実験室や自宅のエアコンにカメラを据え付け、リビングのあらゆる状況を長期間にわたり撮影した。試行錯誤を重ね、座っている人、台所で調理している人など、あらゆる人の動作について膨大かつ高精度のデータをCPUに入力して学習させ、在室者の人数、位置、動き(活動量)をスピーディーに把握させることに成功した。日立グループの技術を結集し、わずか1年半後の2012年(平成24年)10月、エアコンにカメラというオンリーワン技術、「くらしカメラ」を搭載した「白くまくん」が誕生した。
夏場なら、暑いキッチンで調理している人には強い冷風を送り、座って動きが少ない人には弱い冷風を送る──。「くらしカメラ」の識別能力と、6枚のフラップ、左右のルーバーの動きを組み合わせ、冷房時は20万通り以上、暖房時は100万通り以上の送風パターンから、適した気流を送る革命的な製品となった。「くらしカメラ」は12年発売以来現在に至るまで性能を向上させ、進化を続けている。
「白くまくん」は「くらしカメラ」による効率的な運転や、室内機、室外機の改良で高い省エネ性を誇るだけでなく、エアコン内部を清潔に保つ点でも優れている。日立独自の「ステンレス・クリーン システム」は、除菌効果があり、ホコリがつきにくいステンレスを通風路、フラップ、フィルターに採用。除菌、防汚効果を高めた。フィルター自動おそうじも搭載し、手入れも簡単にした。
一方、業務用エアコンの「冷暖切換型フレックスマルチ高効率タイプ」は、送風機、熱交換機、圧縮機の性能向上や発停電抑制制御の適用により、年間の消費電力量を大幅に低減した。15年前の同社インバータ機(10馬力相当システムの場合)と比較すると、電力使用量を約55%低減した。CO2排出量も同程度低減し、環境負荷を抑える製品となっている。
家庭用でも業務用でも認められた日立の高い技術力。これからも快適性と省エネ性の両立を突き詰める研究開発は続く。
(提供 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社)
更新日:2017年02月27日