ダイキン、今期純利益140億円上振れ 家庭用エアコン堅調
ダイキン工業は4日、2021年3月期の連結純利益が前期比33%減の1140億円になりそうだと発表した。従来予想(41%減)から140億円上方修正し、減益幅が縮小する。エアコンは新型コロナウイルス感染拡大の影響で業務用は苦戦する一方、在宅勤務や巣ごもり消費で家庭用の需要が世界的に好調で、全体として回復に向かう。オンライン販促や新製品の投入でさらなる収益向上を目指す。
売上高は8%減の2兆3500億円の見通しで、200億円上振れると予想する。営業利益は36%減の1700億円で200億円上方修正した。
コロナの感染拡大による移動制限や都市封鎖などの動きが世界で相次ぎ、自宅で仕事をする人が増えた。これが家庭用エアコンの新規購入や買い替え需要につながった。「日本では1人10万円の特別定額給付金でエアコンを購入する消費者が多かった」(ダイキン幹部)という。
ダイキンは現地生産を進めており、コロナ禍による供給混乱が少ない。例えば欧州ではチェコに家庭用エアコンの工場を持ち、主にアジアに製造拠点を持つ他メーカーの供給が遅れる中で「シェアを拡大できている」(高橋孝一常務執行役員)。出張の抑制などによるコスト削減も利益面で寄与する。
ダイキンの純利益見通しは市場予想の平均(QUICKコンセンサス)の1321億円を下回っているが、4日の記者会見で高橋常務執行役員は「守りだけでなく、攻めの姿勢でさらなる業績向上を目指したい」と話した。中国ではインターネットを使った販促活動を強化。インドでは販売代理店向けにオンラインでエアコンの据え付け研修を進めているほか、換気のできる新製品の投入も世界各地で進める。
ただ、業務用エアコンは苦戦が続く。ホテルや外食店、小売店の新規開店が世界的に減っているほか、設備更新を見送る動きもみられる。ダイキンが得意とする店舗向けは収益減が避けられないもようだ。
また、期初はコロナの影響が残る期間として「上期まで」と想定したが、足元ではアジアなどで影響が長引き先行きは不透明。コロナの影響は21年3月期に売上高で4720億円、営業利益で1930億円の下押し要因となるとみる。地域別では中国が急回復する一方、欧州の回復は鈍い。
同日発表した20年4~6月期の純利益は前年同期比48%減の331億円、売上高は15%減の5816億円だった。
更新日:2020年08月05日