コロナ禍で不透明なインド。それでもダイキンが100億円で新工場を建設する狙い
ダイキン工業はインドに建設する第3工場として南部アンドラプラデシュ州スリシティ工業団地に用地30万平方メートルを取得した。住宅用・業務用の空調機(エアコン)や主要部品の圧縮機を生産する。投資額は100億円。エアコン年産能力は最大150万台。2023年後半に完成、24年出荷を目指す。第1、第2工場(ラジャスタン州ニムラナ)を合わせ最大同300万台弱に上る。インドに圧倒的な空調生産拠点を築き、中国に次ぐ巨大市場での地位を盤石にする。
スリシティ工業団地は南部の大都市のチェンナイ近郊。日系専用区域には20社超の大手メーカー工場が立地している。ダイキンは今回、30万平方メートルのうち19万平方メートルを正式に取得し、残る11万平方メートルも仮押さえた。
インドは規制緩和や法人減税などを進める産業誘致・振興政策「メイク・イン・インディア」を掲げる。一方でエアコンの現地生産を増やすため、20年10月から完成機の輸入を止め、部品の輸入関税も段階的に高めようとしている。
ダイキンは部品を含めて現地生産比率を高め、地域の雇用に貢献する。工業品の現地生産拡大に対し、インドもインセンティブ(奨励金)を投じる政策を打ち出している。インドのエアコン年間市場は約500万台でダイキンはシェア約20%を握り首位。
インド市場はコロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)などで事業環境は不透明。ただ、エアコン保有率は5%程度にとどまり、毎年10%以上の成長率があるとの見方がある。またインドをアフリカなどの新興地域もカバーする一大生産拠点に整える狙いがある。
日系大手ではパナソニックが空気清浄機能付き住宅用エアコンを投入するなど差別化戦略を加速。三菱電機も空調など多くの事業拡大を目指す。
更新日:2021年06月24日